
給料が安くて辞めたいと思ったとき、最初にやるべきことは「今の給料が相場より低いのか」を数字で確認することです。
結論から言うと、退職を決める前に、同じ職種・地域・経験年数の求人、厚生労働省の賃金統計、職業情報提供サイト job tag を見て、現職の年収がどの位置にあるかを確認しましょう。
感覚だけで辞めると、転職しても年収があまり上がらないことがあります。反対に、統計や求人票と比べて明らかに低いなら、在職中に転職活動を始める価値があります。
まず月給ではなく年収で見る
「給料が安い」と感じたら、月給だけで判断しない方が安全です。比較する前に、今の収入を次の4つに分けて整理します。
| 確認する項目 | 見るポイント | 注意点 |
|---|---|---|
| 基本給 | 毎月固定で支払われる部分 | 賞与や退職金の計算に影響しやすい |
| 残業代 | 実残業代、固定残業代、みなし残業 | 残業代込みの月給は高く見えやすい |
| 手当 | 住宅手当、資格手当、役職手当など | 転職先で同じ手当があるとは限らない |
| 賞与 | 年何か月分か、業績連動か | 月給が普通でも賞与が少ないと年収は下がる |
転職サイトの求人票は「月給」「想定年収」「賞与込み年収」が混ざっています。今の給与明細と源泉徴収票を見て、まず自分の年収を正確に出しましょう。
公的統計で相場の土台を確認する
厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」によると、一般労働者の賃金は男女計で月34.06万円です。
ただし、この数字をそのまま「平均月給」として見ないでください。この統計でいう賃金は、令和7年6月分の所定内給与額の平均です。残業代などの超過労働給与額は含まず、賞与込みの年収でもありません。
| 令和7年賃金構造基本統計調査 | 金額 | 見るときの注意点 |
|---|---|---|
| 一般労働者の平均賃金 | 月34.06万円 | 6月分の所定内給与額。残業代・賞与込みではない |
| 一般労働者の中央値 | 月29.66万円 | 平均より実感に近い比較軸になりやすい |
| 第1四分位数 | 月23.82万円 | 低い方から25%付近の水準 |
| 第3四分位数 | 月38.98万円 | 高い方から25%付近の水準 |
| 正社員・正職員の賃金 | 月35.88万円 | 正社員・正職員以外は月24.17万円 |
平均だけを見ると、高年収層に引っ張られて高く見えることがあります。給料が安いか判断するなら、平均だけでなく中央値や第1四分位数も見ましょう。
たとえば、正社員でフルタイム勤務なのに所定内給与が月23万円前後、賞与も少なく、同職種の求人下限より低いなら、転職で改善できる余地があります。一方で、月給が中央値に近くても、残業代や賞与、昇給が弱いせいで年収が低い場合もあります。
職種別の相場は job tag で見る
全体平均だけでは、自分の職種に合う相場は分かりません。
厚生労働省の職業情報提供サイト job tag では、職業ごとの仕事内容、求められるスキル、賃金、求人倍率などを確認できます。事務、営業、IT、介護、医療、建設など、職種ごとの相場感を見たいときに使いやすいです。
見る順番は次の通りです。
- 今の職種に近い職業名を job tag で探す
- 仕事内容が自分の実務に近いか確認する
- 賃金情報を見て、今の年収が低い位置にあるか確認する
- 転職サイトで同じ職種・地域の求人票と比べる
- エージェントに、自分の経験で狙える年収レンジを聞く
職種名が同じでも、仕事内容や必要スキルが違うと相場は変わります。「営業」「事務」「エンジニア」のような大きな名前だけで比べず、実務内容まで近づけて確認しましょう。
求人票では年収の下限を見る
転職サイトで相場を見るときは、上限年収より下限年収を重視してください。
求人票の「年収400万円から700万円」は、全員が700万円を狙えるという意味ではありません。未経験、経験者、リーダー候補、管理職候補が同じ求人内に含まれていることもあります。
| 求人票で見る項目 | 確認する理由 |
|---|---|
| 想定年収の下限 | 自分が入社時に届きやすい水準を見るため |
| 固定残業代の有無 | 見かけの月給が高く見えることがあるため |
| 賞与の有無 | 月給が同じでも年収差が出るため |
| 昇給・評価制度 | 入社後に上がる余地があるか見るため |
| 年間休日・残業時間 | 年収が上がっても働き方が悪化する場合があるため |
まずは転職サイト比較から、同じ職種・地域・経験年数に近い求人を10件ほど見てください。今の年収が求人下限より低いのか、下限には届くが上限には届かないのかで、判断が変わります。
転職前に下限年収を決める
給料が安い状態から抜け出したいなら、応募前に「最低いくらなら転職するか」を決めておくことが大切です。
下限年収は、次の順番で決めます。
| 決める項目 | 考え方 |
|---|---|
| 生活に必要な最低年収 | 家賃、食費、通信費、保険、返済、貯金を含める |
| 現職より上げたい金額 | 年20万円、年50万円など現実的に置く |
| 求人相場の下限 | 同職種・同地域で届きそうな最低ラインを見る |
| 許容できない条件 | 固定残業が多い、賞与なし、休日が少ないなどを決める |
「今より少しでも高ければよい」と考えると、残業や休日を犠牲にしてしまうことがあります。年収だけでなく、時給換算、残業時間、通勤時間、将来の昇給余地まで見ましょう。
転職した方がいいケース
次の条件が複数当てはまるなら、在職中に転職活動を始める価値があります。
- 同職種・同地域の求人下限より現職年収が低い
- 正社員なのに、同じ職種の非正規求人と年収差が小さい
- 昇給が何年もほとんどない
- 評価基準が曖昧で、上がる見込みを説明してもらえない
- 業務量や責任に対して給与が見合っていない
- 固定残業代が多く、実質的な基本給が低い
- 賞与や手当が減って、年収が下がっている
この場合は、退職してから探すより、在職中に求人相場を見た方が安全です。在職中の進め方は在職中の転職活動は会社にバレる?で解説しています。
まだ判断を急がない方がいいケース
一方で、次の状態なら、すぐ退職するより整理が先です。
- 今の年収を正確に把握していない
- 賞与込み、残業代込み、手当込みの違いを比べていない
- 同職種・同地域の求人をまだ見ていない
- 年収以外の不満が大きく、転職先の条件が決まっていない
- 貯金が少なく、退職後の生活費に不安がある
- 心身の不調が強く、冷静に比較できない
次が決まらないまま辞めるか迷っている場合は、会社を辞めたいけど次がないときは?も確認してください。
年収を上げたい人の探し方
転職サイトで求人相場を見る
まずは求人票を見て、同じ職種・地域・経験年数でどのくらいの年収が提示されているか確認します。
職種が広い場合は、職務内容で絞ってください。たとえば「営業」なら法人営業、個人営業、無形商材、有形商材、既存営業、新規営業で相場が変わります。
スカウト型サービスで反応を見る
経験がある人や30代以降で年収アップを狙う人は、スカウト型サービスで市場価値を見てもよいです。
スカウトの年収レンジ、企業規模、職種、役職候補かどうかを見ると、自分の経歴がどの水準で評価されるか分かりやすくなります。
転職エージェントに年収レンジを聞く
自分の経験で現実的に狙える年収は、求人票だけでは分かりません。転職エージェントに相談すると、職務経験、業界、地域、年齢を踏まえた年収レンジを確認できます。
面談前に不安がある人は、転職エージェントの面談で聞かれることを読んでおくと準備しやすいです。
相談先を選ぶなら、まずは転職エージェント比較で、大手総合型と自分の年代に合うサービスを見比べましょう。
まとめ
給料が安くて辞めたいときは、感覚だけで退職を決めず、数字で相場を確認しましょう。
- 月給だけでなく、基本給、残業代、手当、賞与を分けて年収を見る
- 賃金統計は、平均だけでなく中央値や四分位も見る
- job tag で職種別の仕事内容と賃金情報を確認する
- 転職サイトでは、年収上限より下限を見る
- 応募前に、自分の下限年収と許容できない条件を決める
- 相場より低く、昇給見込みも薄いなら、在職中に転職活動を始める
まずは転職サイト比較で求人相場を見て、相談しながら進めたい場合は転職エージェント比較も確認してみましょう。
参考にした公式情報
- 厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況
- 厚生労働省 令和7年賃金構造基本統計調査 主な用語の定義
- 厚生労働省 職業情報提供サイト job tag



